メロディを豊かに奏でるヒント
ピアノ入門、初心者の方が、そろそろ次のステップアップに差し掛かる頃にぶつかる壁の一つに、表情豊かに演奏するにはどうしたら良いのか…という悩みがあります。
最初は指が動くだけで、曲が弾けただけで嬉しかったし満足できた!あの曲も弾けたし、当初は難しいと思った曲も弾けるようになった。
でも何だか、最近自分が上達していないような気がする…曲が一本調子のような…
ピアノ(もちろん他の楽器も)で曲を表現する時に、基本的なことがいくつかあります。今回はメロディの弾き方に絞って、再確認したいと思います。
①上行系と下行系
ドレミ〜と音が高い音に向かって行く時は、自然なクレッシェンド(徐々に大きく)ミレド〜と音が低い音に向かって行く時は、デクレッシェンド(だんだん弱く)が基本です。
ですので、ドレミレド〜などという時は、山を登って降りる感じになりますね。
この法則は暗黙の了解事項なので、特に楽譜には表記されていないことが多いです。
逆に、ドレミ〜と上行しているにもかかわらず弱めて行って欲しい時には、楽譜にクレッシェンドなどがしっかり表記されているので、見落とさないようにしましょう。
②フレーズの意識
親切な楽譜だとここからここまでが一区切りです!とスラーを書き込んである場合もありますが、これもやはり暗黙の了解で、余程特殊な場所でフレーズが切れる時以外は表記されていないことがほとんどです。ただし、フレーズ感というのはとても重要なのです。
通常私たちが母国語を話す時、句読点、ひとまとまりというのがありますよね。句読点がずれると、言葉や文章がぎこちなくなってしまったり、意味がわからなくなってしまいます。ですので、メロディも、最適な場所で一区切りをつけることが大切なのです。
歌や管楽器の場合は、息つぎの問題がありますので、フレーズと息継ぎ(ブレス)はセットで考えますが、ピアノの場合はともすれば忘れ去られがちです。どこからどこまでを一息で歌えば心地よいかな…?と思いながら弾くようにしましょう。
③フレーズ終わりの処理
②でフレーズが意識できたら、そのフレーズの終わりの音はどのように奏でるか、ということですね。
これも通常は、丁寧に、大事にが基本です。フレーズ終わりには、休符が次に打ってある場合もありますので、その休符もしっかり感じることも忘れずに。ここでも、作・編曲者の意図で敢えてフレーズ終わりを強調したい!という場合には、テヌートやアクセントなどが表記されていますので、気を付けて譜読みをしましょう。
④音価を見直す
音価といのは4分音符、8部音符などの音の長さのことです。
うっかりすると、音名(ドレミ)だけを捉えて弾いてしまいがちですが、四分音符のドと二分音符のドは当たり前ですが意味合いが違いますよね。そして、③でも述べましたが、休符の捉え方が実はとても大事です。テンポ感やリズム感、メロディの躍動感(ゆっくりした穏やかな曲であっても)の鍵になってくるのですね。
⑤どんな音、メロディにしたいか
①から④の基本を、たくさんの曲を譜読みの段階、片手の練習の時から意識的に取り組んでいくことで、特に考えずに自動的に出来るようになった先にあるのが⑤です。(もちろん⑤の意識は常に持っていて欲しいものですが)
重い音、軽い音、鋭い音、じわじわと広がる音、まぁるい音、固い音、消えいるような音、つやのある音…
さらに、このメロディはチェロのイメージでとか、このアクセントはシンバルのように、この軽快なパッセージはシロフォンみたいに、この哀愁のあるメロディはオーボエかな…などと様々な楽器のイメージを持つことも、彩り豊かな演奏には大切な要素だと思います。
どんな音にしたいか?と考えられる為に
どんな音があるのかを判断できる、聴き分けられる耳を育てること、それを再現できるテクニックを身につける地道な努力ができること。
こればかりは、一朝一夕にはいかないので、たくさんの良い演奏を聴き、コツコツと練習を重ねていく、そして自分の演奏を客観的に聴くことも大事かと思われます。
それから、以前に練習していた曲をもう一度新たな視点で弾いてみるのも良いでしょう。
あと、出来ないことを嘆くのではなく、過程を大事にして欲しい!克服できる課題が見つかるということは、成長しているということですから…