アレンジものの違和感のこと

ピアノ用にアレンジされた曲集は、ジャンル・難易度に分けられ、数えきれないくらい出版されたり、ネットに有料・無料でアップされています。

入門者、初心者向けほど、編曲は難しいと思います。
何故なら、入門者、初心者の方が、制約が多いからです。
少ない音数で、限られた音域で、弾き易く、シンプルにそぎ落とす。
ただ簡単にすればいいわけではないのですね。
何でも自在に弾ける上級者向けより、ある意味音楽的知識とセンスが問われるなぁと実感します。

先日のレッスン、とある曲を弾いていた生徒さんがおっしゃいました。
「ここの箇所がどうも好きになれない…」

その曲は、ハ長調で、属七の和音(ソシレファ)において
主音ド導音シが重なってしまっていました。
これ、特にクラシック系では、経過音や装飾音的に使われる場合以外は、
まず避けたい音の響きです。
生徒さんは、理論はわからなくても、何かひっかかるなぁと感覚的にとらえられたのでしょう。
良い耳をお持ちだなぁと感心しました。

さらに言うと、曲はアメリカ民謡を初心者向けにアレンジしたもので、
もともとヨナ抜き音階(ドレミソラド)でできている曲なので、メロディにファとシがありません。そこにオーソドックスなドミソシファソのみが繰り返される伴奏形なので
余計に違和感が感じられたのでしょう。

 

引っかかりを避ける方法として、
パターン①は、主音、導音の重なりを避けるのに良く使われるのですが、
初心者向けには少し難易度が高いので、パターン②を提案してみました。
休符を入れて一気に違和感解消です(笑)

楽譜から作曲者の意志を読み解いて表現を深めていく純粋なクラシックと違い、
ポピュラーや、アレンジもの(クラシック)は、手を加えるはありだと思っています。
ただ弾き易くするためというのではなく、より音楽的になるなら尚更です。