ライアー=Leier(ドイツ語)=Lyre リラ(英語)=竪琴(日本語)
ライアーは、ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)という思想家の影響を受けた、音楽家エドモンド・プラハト(1898〜1974)、彫刻家ローター・ゲルトナー(1902〜1979)という二人の青年によって1926年にスイスで誕生しました。
ピアニストでもあったプラハトは、療育の現場において、繊細で感覚的に敏感な子供にとって、ピアノの音は刺激が強すぎると感じており、何か適した楽器を…と模索する中で誕生した楽器なのです。
ドイツを中心に、シュタイナー学校の教師、音楽療法家の間で長らく大切に用いられていたライアー。
繊細でやさしい音色、豊かな響きは、音楽表現するための楽器としての魅力にもあふれています。
ライアーの種類
1台1台手仕事で作られるライアーは、工房によって個性があり、音色や形状も異なります。
工房はドイツ、スイス、スウェーデン、オーストラリアなど。そして日本にもあります。
種類はソプラノ、アルト、テノールなど、音域、弦の数も23弦から40弦以上と様々です。
量産できないので、欲しい時にすぐに手に入ることは稀で、数ヶ月、物によっては年単位で待ち続けてようやく手にすることが出来る…かと思えば、タイミングよく在庫があったり、思いがけずライアーを弾いていた方からお譲りいただくお話がきたり…とご縁でやってくることも。
奏法
膝の上に乗せ、左腕で支えながら、左右の指の腹を弦にのせて、圧をかけつつ手前の弦に着地という動作を繰り返して演奏します。はじく、爪弾く奏法ではないので爪は短く切ります。単音も和音も出すことができます。
一般的に、楽器は基準音のラの音を440〜444Hzに合わせることが多いのですが、ライアーは、432Hzに調弦をすることが多いです。
Hz(ヘルツ)とは、1秒間に振動する音の波の数です。高い基準音では、高揚感や華やかさ、低い基準音では安らぎ、穏やかさが感じられると言われています。
他の楽器と合わせる時には、440Hzに調弦することは可能です。
ライアーとの出会い
私がライアーを弾くようになったのは2020年とつい最近のことです。きっかけとなったのは2018年頃のことでした。
セレモニー演奏の仕事をする際、ゆったりとした、温かい、やさしい音色や楽曲に、常日頃アンテナを張っていた中、ライアーを演奏する動画にたまたま辿り着きます。
その時は「こういう音楽、楽器もあるのねぇ…」と、多少の心のひっかかりと違和感を残しつつ、通り過ぎただけでした。
それから時を置いて2020年の夏、同じ動画を視聴することがありました。「あー、これは確か以前に…」など思いながらも、なんとこの時は「私も弾きたい」、さらに言うと「私の楽器だ!」と強く思っていたのでした。
秋に国産のライアーを購入。見ようみまねで数ヶ月。年が明けて2021年にレッスンに通い始めます。
そこから知られざるライアーの世界と奥深さにすっかりはまり、今ではライアーを弾くために今までの音楽経験がある!とすら思う毎日です。
音の行方を静かに無心に聴くことの大切さ。
たったの1音が、この上なく美しい音色となって心に届く、まさに琴線に触れる、そういう楽器だと思います。
ライアーの音色から感じるもの
透明感 静けさ 温かさ 清らかさ…