ヴィオラ・ダ・ガンバの思い出

ヴィオラ・ダ・ガンバという楽器をご存知でしょうか。イタリア語で脚のヴィオラという意味を持っている、ルネサンス・バロック時代に隆盛を極めた繊細で美しい響きの弦楽器です。

学生の頃の2年間だけ、この楽器を弾く機会に恵まれました。教えてくださったのは、日本を代表するガンバ奏者でもあられる神戸愉樹美先生。ガンバの基礎的な奏法はもちろんのこと、ルネサンス、バロックの時代背景、楽曲のアナリーゼなど幅広くレクチャーしてくださいました。週に1コマ90分。当然のことながらこの時間だけでは弾けるようにはならないので、家にも持ち帰って練習。大学はこの貴重な楽器を無償で貸与してくれたのですね(弓に使う松脂だけ購入した記憶)
そして授業の合間や空き時間には仲間と自主練!なんと何百人といる学生の中で、この授業を選択していたのは1学年に5、6人!専攻が作曲学科や楽理、教育学科といった学生。ピアノ科や他の器楽、声楽は自分のメインの楽器を学ぶために音大に入ったのだし、他の楽器にまで手が回らないし興味が向かないのも当然のことかもしれませんね。
この5、6人の仲間とパレストリーナやパーセル、ジョスカン・デ・プレの作品といったアンサンブルレパートリーにも挑戦。そう、楽しむというより余裕がなさすぎて挑戦といった方が正しいでしょう。先生の奏でるガンバの音色と自分の音色のあまりの違いに愕然としながら、毎週のアンサンブルのレパートリーの課題をこなすのに結構必死だった記憶があります。
何かのきっかけで皆で先生のお宅にもお邪魔し、手料理をいただいたこともありました。新鮮なブロッコリーは生でいただけるのよ!と薄く切ったブロッコリーがサラダに入っていて妙に感動していた10代の私です(笑)
夏には軽井沢で合宿もありましたし、芸大のチェンバロの学生さんとガンバでアンサンブルをしたり、こう書いていると大学の最初の2年間はガンバ三昧だったのかと錯覚しそうになります。
専攻の作曲の勉強、ピアノ、声楽、合唱、指揮法、その他様々な講義や実技、10代の頃は本当にたくさんの貴重な学びの時間がありました。渦中にいるときよりも、振り返ってみるとその有り難みがよくわかります。

今、ガンバのとある曲をライアーにアレンジしています。本当に美しい曲なのです。いつか皆さんに聴いていただけたら良いな、と思います。

ガンバのことが描かれている絵本。 私がガンバを弾いていることを知った当時に恩師が贈ってくださいました。