セレモニー演奏のこと

セレモニーで演奏するようになって丸8年となり、演奏を担当したお式の件数は1000件を超えました。
ということは、それだけの数の方の最期の旅立ちに立ち会わせていただいたことになります。

年齢も性別もご家族のあり方も、お式の形式や規模も一つとして同じ式はありません。
心がけていることの一つには、決して【ルーティンにはしないこと】です。

例えば、割とよく演奏する曲があります。
川の流れのように、ふるさと、別れの曲等は定番中の定番ですが、
御葬家にとっては大切な大切な一曲です。
演奏する時は、どのくらいの音量にするか?テンポは?調は?音数は?
雰囲気は?曲のサイズ感は?クライマックスをどう持っていくか?
等々、弾きながらも思考はフル回転。
目でその場にいる方たちの動きを追い、
耳で会場全体の様々な音の中の自分の音楽を聴き、
肌でその場の空気感を感じて弾いているので、ルーティンのしようがありません。
毎回、より良い音楽を届けようと真剣勝負です。

そしてどんなに心揺さぶられる場面でも決して涙を流さないことも大事。
どうしても目に涙が溜まって決壊しそうなときは、さっと下を向いて垂らして終わりです。
奏者はスタッフ側の人間なので、ハンカチで涙を拭うのはNGなんです。

今まで携わった全ての故人様が安らかな眠りについていますように。
御葬家様が、悲しみから少しでも前を向いて歩まれておりますように。

何らかのご縁で、携わせていただいたことに感謝です。